2017年8月12日土曜日

前菜 Antipasto アンティパスト

アンティパストはメイン料理前の「おもてなし」
食前酒と先付けでくつろいだ後は前菜です。
前菜はイタリア語でアンティパスト (Antipasto)!これには「食事の前の」という意味があり、ルネッサンス期に宴席で、メイン料理の前のおもてなし料理として発展してきたものです。
イタリアでは家庭に於いても、来客には「おもてなし」を込めてアンティパストを振る舞う事が多いんです。
私たちも、お店からの「おもてなし」として、メイン料理の前に、ぜひアンティパストを楽みましょう。

冷たいアンティパストと温かいアンティパスト
アンティパストは「冷たいアンティパスト」と「温かいアンティパスト」に大別されますが、「冷たいアンティパスト」のほうが多いですよね。それには理由があります。
というのも、その昔、貴族の宴席では、アンティパストは最初からテーブルに並べられているものだったため、冷めても美味しい料理が多く研究され、結局は「冷たいアンティパスト」が圧倒的に発展してきたんです。

冷たいアンティパストの代表といえば、ソーセージやハムの盛り合わせ、保存性のある野菜や魚介のマリネ(酢漬け)などですね。
また冷めても美味しいようにと調理された焼き物や煮込みなどもあります。
温かいアンティパストにも煮物や揚げ物などたくさんの種類があります

イタリア料理店には、ダイニングに何種類もの大皿の冷たいアンティパストを並び飾っているところもあります。
これは貴族たちの饗宴に於いての「おもてなし」の名残りといえますが、色華やかなアンティパストで、お客の目を楽しませ、食欲を駆り立てようというお店の工夫でもあります。

アンティパストを注文しましょう!
アンティパストはメインに比べると味付けは薄めで、量も抑えめにされています。少し物足りなくても、後の料理の事も考え、あまり注文しすぎないようにしましょう。
注文は基本的にメニューの中から選びますが、店内にアンティパストが並べられている場合は、そのディスプレイにメニューリストに無いお勧めがあるか、カメリエーレ(ウェイター)に質問しても良いでしょう。
店によってはワゴンにアンティパストを乗せて、席まで来てくれることもあります。

アンティパスト用のシルバーは?
アンティパストに使うシルバー(ナイフとフォーク)は、メイン料理用に比べるとやや小さめです。
位置皿(飾り皿)の両側にナイフとフォークが2本ずつセットされている場合、外側の小さめの一対がアンティパスト用で、内側の一対がメイン用です。
店によってはメイン用の一対だけをセットしている場合もありますが、アンティパストを注文すれば、メイン用の外側に小さめの一対をセットしてくれます。

アンティパストの代表的な料理は?

前菜の盛り合わせ
Antipasto Misto
アンティパスト・ミスト
いくつかの前菜を少しずつ盛り合わせたもの。数種類の味見ができるので、アンティパストの中でも最も人気があり、多くの店がメニューリストには載せています。
「野菜のオイル漬け」、「チキンときゅうりのサラダ」、「鯛のカルパッチョ、木苺のヴィネガ-風味」、「牛タンとセロリ、人参の粒マスタード和え」など・・通常は5種類ほどですが、10種類ほど盛り合わせている店もあります。

トマトとモッツアレッラのサラダ
Insalata di Caprese 
インサラータ・ディ・カプレーゼ
トマト、モッツァレッラ(水牛、または牛の乳から作られた弾力性のあるチーズ)、バジリコを組み合わせ、塩、胡椒、オリーヴ油で味を付けしたサラダ。イタリア料理では定番のようなアンティパストです。
カプレーゼは「カプリ風」という意味で、この料理はトマトやモッツァレッラの産地で有名なナポリ地方のカプリ島が発祥です。
[関連語]サラダ!
サラダはイタリア語でインサラータ!
西洋人と違って、日本人はサラダといえば、レタス、キュウリ、人参を切ってドレッシングをかけたシンプルなものを想像しますよね。
でもアンティパストとしてのサラダは、カプレーゼのように色鮮やかで具だくさんなものが多いんです。

生ハムとメロン
Prosciutto e Melone
プロシュート・エ・メローネ
薄切り生ハムをメロンと一緒に食べます。
生ハムの塩味とメロンの甘味が見事に調和している一品で、イタリアでは多くに親しまれています。
日本人には食後のフルーツのはずのメロンも、イタリアやフランスでは夏場の前菜には一般的な素材なんです!
[関連語]生ハム!
日本ではハムは茹でて加工したものが一般ですが、ヨーロッパではハムは「生(なま)」が一般なんです。
生ハムとは、豚もも肉を生のままで塩漬けし、20日間ほど寝かせ、自然乾燥の後、一定期間熟成せたものです。
特に有名なのが北イタリアのパルマ地方で生産されるもの。甘みのある果物との相性がよく、メロンの他、無花果(いちじく)との組み合わせも多く見られます。絶品ですよ!

アーティチョークのローマ風
Caniofi alla RomaMa
カルチョーフィ・アッラ・ロマーナ
アーティチョークの芯(しん)にアンチョビや香味野菜、パン粉などを詰めて、オリーヴ油と水、レモン汁で煮込んだもので、アーティチョークの代表的な料理といえます。
「ローマ風」とは、産地の一つであるローマに因んでいます。
[関連語]アーティチョーク!
イタリア語ではカルチョーフィです。
日本では馴染みの薄いアーティチョーク。でもヨーロッパでは春と秋に出荷される一般的な野菜なんです。
特にイタリアでの歴史は古く、古代ローマ時代から重宝されていたそうです。
またメディチ家のカテリーナ姫がフランスに嫁いだ際に持参した野菜としても有名です。
茹でたり、煮込んだり、オーヴン焼きの他に、丸ごと揚げた「ユダヤ風(alla Giudeaアッラ・ジューデア)」もローマのユダヤ系の人々に親しまれています。

シチリア風カポナ一タ
Caponata alla Siciliana
カポナータ・アッラ・シチリアーナ
茄子や玉葱、トマトなどの野菜を炒め、甘酸っぱく煮込んで冷ましたアンティパストで、元々は茄子やトマトが豊富に採れるシチリアの料理です。
店により材料は異なっても「茄子、砂糖、白ワイン酢」は必ず使われますが、これに類似したフランス料理のラタトゥイユは砂糖と白ワイン酢は使いません。
因みに、ピーマンを主体に煮込んだものは「ペペロナータ(Peperonata)」です。
[関連語]カポナータ!
カポナータの語源は諸説云々ですが・・
発祥地シチリアで、ある店では客が来店するとすぐに出せるよう、料理を何品か作り置きしていて、それらを「カウポウネ」と呼んだことから名付けられたという説も有力とされています。

花ズッキーニのフリット
Fiori di Zucca Fritti
フィオーリ・ディ・ズッカ・フリッティ
花ズッキーニの花の部分にモッツァレッラやアンチョビなどを詰めて揚げたものですが、何も詰めずフライにするだけの場合もあります。
メニューの項目では「野菜料理」なので付け合わせの野菜と思われがちですが、独立したアンティパストとして出されることが多いですね。
[関連語]花ズッキーニ!
ズッキーニは南瓜(かぼちゃ)の一種で、花ズッキーニは実が熟する前の花を付けた状態で摘み取ったものです。
花ズッキーニは日本ではまだ馴染みの薄い野菜ですが、イタリアでは実と同じく大変に親しまれている夏野菜なんです。
実には少し苦味がありますが花は苦味がなく、フライにすると口当たりに心地よいサクサク感があります。

バーニヤ・カウダ
Bagna Cauda
バーニャ・カウダ
好みの生野菜を熱いソースに浸しながら食べる冬のアンティパストです。
ピエモンテ地方の山里が発祥で、冬はビタミンが不足しがちなため、たくさん野菜を食べなければと考え出されました。
小さめの土鍋に、大蒜、アンチョビ、オリーヴ油、バターを加え、弱火で温めたソースに、別に盛られたピーマン、セロリ、人参などの生野菜を手でつまんで、よく浸して食べます。
[関連語]バーニャカウダ!
「バーニャカウダ」とはピエモンテ地方の方言で「熱い風呂」という意味です。
因みに、同じく生野菜を浸して食べるトスカーナ地方の料理、「ピンツィモーニオ(Pinzimonio)」は、熱を加えないオリーヴ油のソースを使います。

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